水戸です。
クライシスマネジメントの回を書きました。
危機対応でいちばん多い失敗は、判断しない・動かないこと。
私の意見ではなく、国際規格に記載されています。
ISO 22361:2022(危機管理―指針)の第7.3項。
表題は「ジレンマ、意思決定の遅延、意思決定の回避」です。
「何もしないほうが、進んで犯した誤りよりも責められにくく見える」
規格はそう書いたうえで、重要な決定を下さず、必要なときに動かないことこそ、危機対応の実効性と効率を損なう最も広く見られる問題の一つであり、危機を悲劇的な結末に導いてきた、と続けます。
同じ項に、こうもあります。「危機の最中に善意でなされた決定について、危機管理チームの構成員が責任を問われることはない、と明確にすべきである」。
明確にすべきである。つまり、有事に口頭で言うのではなく、事前に決めておくべきとして書かれています。
有事に「誰が決めるか」を決めるのでは遅い。先に決めるべきは、何が起きたら誰の判断で先へ進めるかという順序と、善意でなされた判断について後から責任を問わないという扱いの二つです。後者を先に決めておかないと、前者は形だけになります。
記事では、ISO 22361 が危機管理を7段のプロセスに分けていること(日本の議論が集まる初動は、5番目です)と、航空の復行(go-around)の話を交えて書いています。
【編集後記】
この回はタイトルを最後まで決めかねました。
書き上げたときは「規格は『何もしないほうが責められにくく見える』と書いています」でした。規格の一文をそのまま置いた形です。私の意見ではなく規格が書いていることだ、という点が今回の芯なので、それを見出しに持ってくるのが素直だと思っていました。
結局、「引力の強い不作為が最大の難所」に変えました。
前のタイトルは規格の紹介で終わっていて、読み手が自分のことを思い浮かべづらいのではと思いました。不作為には引力がある、という言い方にすると、規格の話が自分の話として引き受けられるように思いました。
本文の冒頭も「判断しないこと」から「判断しない・動かないこと」に直しています。私の経験では、決めていないだけでなく、決めたのに動いていない場面のほうが実際には多かった。
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水戸貴之/note『コンプライアンスの地図』
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